泌尿器科の主な病気と症状

前立腺の病気

男性にだけある臓器【前立腺】は、膀胱のすぐ下にあり、尿道をぐるりと取り囲む組織です。

生殖にかかせない精液を作るという大切な仕事をしています。

しかし加齢に伴い、大きくなったり癌化したり、また炎症を起こしたりもします。

前立腺の病気の中で多い、炎症・肥大症・癌そして前立腺症についてお話しましょう。

前立腺炎

30代~40代と若い年代に多い病気です。

原因は細菌感染による炎症で、前立腺が腫れてむくみ大きくなるため起こります。

頻尿(トイレが近い)、残尿感(排尿しても残っている感じがする)、排尿時痛(おしっこをする時に痛む)特徴は発熱で、39度近い高熱が出ることもあります。

前立腺肥大症

50歳を過ぎると肥大症が多くなります。

前立腺の腺組織が固く大きくなり尿道を圧迫するため、様々な症状が現れます。

尿の出が悪い(細い)、排尿困難(おしっこが出にくい)、頻尿(トイレが近い)、夜間頻尿(夜中のトイレが多い) など。

患者さんが困るのは夜間頻尿で、尿意で起き4回以上トイレに行き、寝不足となることです。

治療のメインはα‐ブロッカーの薬物投与で、この薬の出現で、以前は多く行われていた手術は減りました。

抗男性ホルモン薬も前立腺の体積を小さくする効果があります。

前立腺癌

50代以降になると、癌が発生することがあります。

症状はかなり進行しないと現れません。

診断はまず血液中のPSA値を調べ、生検(前立腺組織を採取)により確定診断とします。

治療は手術・放射線療法・ホルモン療法などをおこないます。

前立腺症 (慢性前立腺炎症候群)

前立腺・膀胱に異常はみられないのに、痛み・排尿困難・残尿感・頻尿などの症状があります。

治療に抵抗し薬物効果がなかなか得られないのが特徴です。

抗うつ剤や漢方薬が効くこともあります。

前立腺の病気は、男性にとって身近で避けられない病気ともいえます。

今までとどこか違うと感じたら、早めに受診して下さい。

膀胱・尿道の病気

尿路結石症

吐き気を伴うような腰背部の激しい痛みがあります。

また、血尿(赤い尿から、見た目は透明まである) など。

なお、石の位置によって症状は異なります。

過活動膀胱

以下のような排尿に関する症状が見られます:

これらの症状があるにもかかわらず、エコー検査では実際に膀胱に尿が残っている(残尿)が見られないのが特徴です。

※残尿とは、排尿後も膀胱内に尿が残っている状態を指します。

夜尿症

5才を過ぎても月に数回以上おねしょが続く場合を「夜尿症」と診断し、一般的には小学生になっても夜尿が続く場合が治療を始める目安となります。

夜尿症についてより詳しくはこちらのページをご参照ください。

→ 【夜尿症の症状と発症の原因】

神経因性膀胱

神経の障害によって起こる膀胱機能の異常で、頻尿・排尿困難・尿失禁・尿閉(尿が出なくなる)などの症状が現れます。

原因は障害された神経の種類によって異なります。

性行為感染症

クラミジア尿道炎・淋菌性尿道炎(性行為感染症)

淋菌性――激しい痛み。 排尿時痛。 尿道からの排膿。

クラミジア―痛痒い。 女性は不妊の原因になります。

尖圭コンジローマ

原因はヒトパピローマウイルスの感染。陰部に先の尖ったイボが多数形成される性感染症です。

痛みも痒みも無く、増殖していきます。潜伏期間は3~4ヶ月

接触によってうつります。

梅毒

梅毒は、スピロヘータの一種「梅毒トレポネーマ」によって引き起こされる性感染症です。

適切な治療により完治可能ですが、抗体ができないため、何度でも再感染する可能性があります。

成人後に感染するケースが多いですが、胎児が母体から感染する「先天性梅毒」も存在します。

これは妊娠中、胎盤を介して母親から胎児に感染するもので、多くは胎内で死亡してしまう場合もあり、出生しても重篤な症状が出ることがあります。

感染後の経過と症状

時期 病期 主な症状
約3週間後〜 第1期 陰部や口腔内にしこりができ膿を出す。
鼠径部(股の付け根)のリンパ節が腫れるが痛みはない。
治療しなくても2〜3週間で一時的に消失する。
3ヵ月〜3年 第2期 全身に赤い発疹(バラ疹)が出現。
扁平コンジローマや脱毛、全身のリンパ節腫脹、多彩な皮疹がみられる。
臓器にも症状が出ることがあるが、数週間〜数ヶ月で軽快する。
数ヶ月〜数年 潜伏梅毒 無症状
3年以降 第3期 筋肉・骨・皮膚にゴム腫(腫瘤)ができる。
心臓や脳、血管、眼などに障害が出ることも。
10年以降 第4期 臓器に腫瘍ができたり、脳梅毒などを引き起こし、死に至ることもある。

このように梅毒は、治療しないで放置すると死に至る病気です。

お心当たりがありましたら、早めに医療機関での検査をお勧めします。

その他の病気

男性更年期障害(加齢性性腺機能低下症候群)

性機能をコントロールする男性ホルモン「テストステロン」の分泌が加齢とともに減少することで起こる症候群です。

主な症状は、身体面と精神面の両方にあらわれます:

テストステロンの分泌は30代から徐々に低下し始めますが、症状がはっきり現れるのは50歳前後の働き盛りの時期が多いとされています。

神経質・真面目・几帳面・責任感が強い・競争心が強いといった、ストレスを抱えやすい性格傾向の方が発症しやすいとも言われています。

疲労や年齢のせいと片付けられてしまうことも多く、見過ごされやすい病気ですが、適切な検査や治療により改善が期待できます。

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